2000 GAO2月号 ライ 第116話 マズイマズイ、思いっきり制作日記の更新が遅れてるな。毎月二回更新しないと追いつかないぞ。それにしても、 なかなか文章を書くのは難しいな。漫画家として、文章力もそれなりに必要だと思うんだけど、コレばかりは天 分というモノなのかなぁ。 昔、ライの小説化の話が来た時、もう名前も忘れちゃったけど、ある作家さんがそ の件の部分を書いて、見せてくれたことがあったが、あまりにもちゃちぃ文章で、一発没を出してしまい、その 企画そのものが吹っ飛んだことがあったっけ。その時、自分の漫画のノベライズなんか自分でやれるわいと思っ ちゃったわけだけど、こうして、日記を書くだけでヒィヒィ言ってるぐらいだから、話になんないね。 因みに ね、この小説ってのがコレまた滑稽な話だったよ。何やら、狼刃との決戦の前に、南京楼に残っていた紫紋が、 外宇宙からやって来た謎の組織に誘拐されちゃうわけ、それでもって、雷は、軍団の中の受刑者を選りすぐって、 いわゆるならず者部隊を率い、どーいうわけか、正宗の協力まで得て、救出作戦を展開するという話。オマケに、 このならず者部隊との件が、戦争映画の「鷲は舞い降りた」の一シーンにそっくりさんでした。とにかく笑えた けど、さすがに、こんなの世間様の目に触れさせるわけにはいかんと、即日、お釈迦にしちゃったけどね。南無南無.. さて、制作日記の方に移りますぞ。前回、雷は金剛ただ一隻で、西羌軍が蹂躙している五丈に、押っ取り刀で、 とって返すわけだが、その頃五丈はどうなっているかが、この話の前章だ。確か、公叔が言った戦略というのは、 首都を電撃的に落とし、五丈軍が帰ってくるまでに、紫紋らを人質にとって、西羌に帰るという、どちらかという と、力の誇示、デモンストレーションの意味合いが強かった。公叔は元五丈の重臣、五丈軍の強さ、将兵の精兵さ は、誰よりも熟知してるわけだ。その彼が、例え、南天軍と挟み撃ちにしたところで、勝利はおぼつかないことは 分かっていたわけで、この後、例え雷が一隻で戻ると知っていても戦闘は避けたであろう。彼の望みは再度の混沌 であった。余りにも五丈の勢力が大きくなった今、それしか自分の出世も野望も果たせないと考えていたからだ。 いかに強国でも首都を落とされたことは大きな政治的なダメージである。ましてや跡継ぎまで人質に取られた。こ の事実は雷に糾合されつつある南天や智国にも、ある種の勇気を与えることになるだろう。南天は更に西羌との結 ぶ付きを強めるだろうし、智国の反五丈勢の残党も、西羌を頼みとする様になる。西羌の重みは増し、再び三国鼎 立の状態に持って来れる。そうすれば後は自分が西羌の宰相となり、思う存分その力を発揮できると。しかし彼の 死によって、この青写真も完全に消え去ったわけだ。残されたのは、余りもの事態の進展に、竜王の怒りを恐れる 大将と、思いがけない勝利に更に野心と欲望を膨らませた兵士しか残っていなかった。 秦宮括は混乱状態のため、実質的な指揮は弟二人が執ることになった。コレには秦宮括は、雷に斬られて死ぬとい う予定があったので、弟とは離れて貰う必要があったのだ。彼らはまず、都を中心とした五丈中枢の掌握に取り掛 かる。斉王都近くの衛星都市はたちまち落とされるか、開城しただろう。次なる目標は五丈第二の都市、武王都だ。 武王都は長く、今は亡き比企弾正の君臨した都市であり、(このような都に近い所に居城を持てたこと自体、旧王 朝での弾正の力を垣間見ることが出来よう)多くの軍需物資や軍資金なども豊富である。略奪が主な任務の西羌軍 にとっては、戦略上云々以上に魅力がある都市である。 ここで、新キャラ登場。何ともさえない顔した晏石君だ。このキャラクターには一寸したエピソードがある。本来 なら、もっと早く登場する予定だったのだ、しかももっと重要な役として。 時はそう、五丈軍が、第二次南征に向かおうとして準備に余念がない頃だ。技術総監装民の甥であり養子である装 伯が新型金剛に搭載する巨大砲の製造に四苦八苦している頃に、彼は、装白、孟起の二人と並んで五丈軍若手将校 の3羽ガラスとして登場する予定であった。血気にはやる孟起を主に財政的な面から押しとどめる役であった。 「お前ら軍人は直ぐに戦々と騒ぎ立てる。今は国中、万事物価が上がっちょる。戦わんのに越したことはねぇ。」 とか言ってね。いわば、三楽斎の後継者としての予定だったのだ。しかし、この装白の巨砲の試射シーンをも含 めてこの場面は全て没となった。それは、丁度連載100話目が近づき、色々企画もするので、100話目には 派手なシーンをくれと担当がぬかしたからである。あの時点で最も派手になるだろう場面は南征への出陣シーン しかなく、それを盛り込むため、数ヶ月前から色々調節したため、この若手3羽ガラスのシーンを省略したので あった。一寸残念だったなぁ。武断派の多い雷の陣営の中で、装伯と並んで異彩を放つ存在になると思ったのに.. で、こんな所に無理矢理初登場となったわけだ。全然鎧の似合わない風体だが、会議に出席するような地位 の人間では、つまらないので、衛兵という形での登場となった。 彼の提案する酒と女とでの接待漬けは、一寸工夫がないかも知れないが、ここで師真のような天才的な閃きより も一寸地味だが現実的な策の方が逆に、真実味が有るだろうと思う。あくまでも時間稼ぎであり、その後のこと は雷と師真に任すという、晏石が主君の能力を信じている人間であったこその策かも知れないし、彼をそーいう 人間として描きたかった作者の意図でもある。 たかだか、酒と女を送られたぐらいで、軍務を放ったらかしにする秦兄弟も問題だが、中国史でも西欧の歴史に でもこーいうエピソードには事欠かないから不思議である。人間、勝利した後ここまで緩むもんなんだろうか。 しかし、これは後から歴史を見ている我々だから出来るモノ。そーいう時代の人間の心理状態は、ぬるま湯に浸 かった我々には理解できないモノかも知れないね。ここでは晏石の進言によって、五丈が酒漬けにしたようにな っているが、そーいう小細工はしなくても、大して変わらなかっただろう。武王都が落とされるかどうかは別に して。もし、公叔が生きていたとしてら、さぞかしこの連中の扱いには困っただろう。 洋上を延々と進撃する金剛だが、どうしてもスピード感が出ないねぇ。前回にも書いたけど、重々しい戦艦が全 速力で走るシーンはその状況が相反するだけに難しい。アニメとか、特撮とかで、星を後ろに飛ばすというやり 方があるが、あんな感じで出来れば良いんだけど、一枚絵の漫画の世界、それっぽくやってはみたけど。一寸さ えない出来だ。何か、いい手はないかねぇ。 さて、いよいよ金剛の到着だ。この後の金剛が帝虎を真っ二つにしてしまうやり方は、色々試行錯誤した末の結 果である。ただ、その解説は次号の制作日記に回そうと思う。しかし本来はこのまま突入して今月のライが終わ るのが筋だと思うし、こんなところで来月に引くのも変な話だね。やっぱり8ページ減は痛いなぁ。 それにしても今回の制作日記は短い。別に手抜きをしたわけでもないのだが、ストーリー的にあんまし深く なく、あくまでも来月の繋ぎだろうからこんなモノなんだろう。 | |
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